薪ストーブを設置する前に考えること 第4弾(煙)
薪ストーブを導入するにあたって、大きな障壁となっているのがご近所トラブルです。
そのなかでも煙について心配される方が多いみたいです。
今回は、薪ストーブの煙が発生するタイミングと煙をいかにして無煙に近づけるかの対策について書いてみたいと思います。また、設置前の煙突の位置決めについても、エピソードを書いてます。
それでは薪ストーブ〜
薪ストーブを導入を考えると、煙が問題となるかもしれません。
昔はお風呂、もっと昔ではお釜で薪を使っていたので、街中が薪の香りがしていましたが、今はそんなことはありません。
昨今では野焼きが禁止されるくらい煙にはうるさくなっています。
洗濯物に野焼きの香りがついていて、昔ならばまっいいか!お互い様!という風習は時代とともに変わり、風に乗る空気まで責任問題が発生しています。
これらは都会に行けばいくほど、その傾向が強いような感じがします。
今日はそんなお話です。(゜∇ ゜)
煙はどのタイミングで発生するのか
薪ストーブの煙はいつ発生するのでしょうか?
ずっとモクモクと煙は出し続けられているの?
無煙の薪ストーブがあるけど、発生するの?でないのどっち??
それでは動画で確認しましょう。我が家と同じアンコールで燃焼の様子がわかります。
動画を見てから解説を読んでみて下さい。
一次燃焼のみ
動画0:50では焚き付けを行っています。炉内はかなり燃焼しているように見えます。
動画1:30では煙がまっすぐ空に向かって伸びているのが確認できますね。
通常、焚き付け時には、ダンパーを閉めずに燃焼(一次燃焼)させますが、焚き付け時は薪を炭化させる進行過程なので煙が煙が屋外まで直行していることになります。
動画2:00では、300度ぐらいになっているので、この時には煙はとても少なくなっています。
動画2:20では中割の薪を投入しており、その薪のため炉内の温度は下がってしまい、また焚き付け用に入れた燃焼は炭化し始めていますが、途中投入された薪はいちから炭化することになります。このため、炉内の温度が低下します。このように熾火が少ないと薪投入時には必ず煙が出てしまいます。
二次燃焼を追加
動画3:28ではストーブの温度が上昇しているので、ダンパーを締めて二次燃焼も追加しています。
動画3:45では、炉内の薪を動かし、炭をかいたので煙が出てしまっています。
動画4:00では火力が安定しているため、煙はかなり少ないように見えますね。
動画5:50では、極太の薪を入れていますが、十分な熾火があるため炉内の温度が高く、薪を投入しても煙がでない。二次燃焼で多くの煙が燃焼していることが確認できますね。
すなわち、十分な熾火と炉内の高い温度の状態では薪を投入しても、煙は出にくいようです。
煙が出る原因と解決方法
動画を解説すると熾火がない火入れ直後には必ず煙が出ます。着火剤に火がついても薪自体は燃焼温度が低く、まだまだ炭化していません。ひとくちに燃焼といっても薪が燃えているのではなく、薪に含まれるガスが燃焼しているのです。
この薪を炭と呼ばれる状態へ近づける、すなわち一気に炭化させるためには、燃焼温度を高くする必要があります。
動画のように薪を投入直後は煙がでやすいタイミングです。
燃焼温度が低い状態では、不完全燃焼となってしまい煤(スス)が発生し、それが屋外まで飛んで行くとこれが煙として認識されます。
温度が高い状態で薪を投入すると、一気に炭になるので煙が少ない結果となります。
温度が高い状態でダンパーと閉じる(二次燃焼を行う)、一次燃焼で残ったガスが触媒で燃焼されてしまい、煤に含まれる炭素も燃やしきってしまうので、無煙に近い状態になります。
つまり、焚付直後では煙が多い状態で、薪に火がどんどんついて、熾火が増えてストーブ内の温度が高くなると無煙になります。
無用に煙を抑える方法
薪ストーブの煙については燃焼温度・燃焼するもの・煙突の向き・煙突の長さなどが重要となります。
焚き付け時
薪ストーブに慣れていない状態では、なかなか薪に火をつけることができず、薪ストーブの温度が上がらないことがあるので、焚き付けがスムーズにいくように配慮が必要です。私は以下の点を注意しています。
焚き付け時に注意していること
- 細い焚き付けを使うこと
- 針葉樹を選ぶこと
- ケチケチせず着火剤は使うこと
- 空気の流れを考えて薪を組むこと
細い焚付材をつかうと、燃料となる木々は簡単に炭化(炭)になりやすいです。しかし、すぐに灰になってしまいがちなので、次々と追加しなければならないのが問題です。
形が揃った焚付材として割り箸を利用することもあります。可能ならば料理店で廃棄する割り箸を手に入れることが出来れば、料理店は廃棄処分台が少なくなるのでwin-winかもしれませんね。
薪にする木の種類によっても変わります。例えば松や杉などの針葉樹は広葉樹に比べると煤が出やすいです。よく松ヤニって言いますよね。
針葉樹には煤が多くなってしまうので、温度が高い状態で入れないと煙が多くなってしまうということですね。これは焚付直後に大割の針葉樹を入れると生じる問題です。
この松ヤニと呼ばれるものは、燃えやすい性質もあるので針葉樹は一気に燃焼温度を高める作用があるので迷いどころですね、燃やすタイミングなども考えていかないとダメです。
我が家では焚付材には縦材の廃材となった桧を使用しています。
樹木の違いについてはこちらをどうぞ
着火剤はランニングコストがかかります。このため、着火剤を少しでも抑えたいところですが、これによってなかなか燃焼温度が上がらないという問題も生じます。
着火剤にはいくつか種類がありますが、最終的には ファイヤーサイドのドラゴン着火剤に落ち着きました。燃焼力も強く半分に切ってもかなりの火力を発揮してくれます。
薪をぎっしりと隙間なく敷きつけると酸素不足になるため燃焼に時間がかかります。隙間を作り、薪ストーブ内の空気の流れを意識すると焚き付けはスムーズです。
立体的に薪を焚べて常に空気の流れを意識しましょう。
通常運転時
焚き付けが問題なく、通常運転時においては熾火がある状態になります。高温となっているので煙は出にくい状態といえるでしょう。
この状態であれば太い薪を投入しても速やかに炭化へと進むようです。
動画でもあったように燃焼中に炉内をかき回してしまうと、外にススや灰が舞い上がってしまうので注意が必要ですね。特に薪ストーブ料理をする前には熾火を移動させたり、小さくすることがあると思いますがこのタイミングには煙が出やすいといえるでしょう。
導入前に考えておくこと
薪ストーブを導入する前には煙突の位置や向きにも注意しておきましょう。後から煙突の位置や高さを変えることは通常は不可能です。
例えば、煙突の近くに、お隣さんの窓の高さに煙突の出口がある場合は、やはり香りがしてしまうと思います。また家全体を含む地域の風の流れも意識したほうがいいですね。
図はイメージ
私の依頼した工務店では、一年間の風の向きについても調査してくれて4季それぞれの大まかな風の向きや流れを計算してくれました。これによって、隣への直接的な煙の流れなどの把握にも役立ちました。
この二点はストーブを設置する時に気をつけることになりますので、薪ストーブを検討している人にとっては重要です。
さらに、我が家ではご近所が洗濯物を干す時間には、火入れは行いません。早朝か夕方以降に火入れをするように心がけています。また温度管理にはもちろん注意しています。
〆
煙突などは設置する前にしっかり考えること、工務店や薪ストーブの業者さんとしっかり考えましょう。
火入れした後は温度管理が煙問題を防ぐポイントになります。
しかし、燃焼温度が高くてもほんわか木が焼ける香りはしますので、事前にご近所へのご挨拶が重要だと思います。