薪ストーブの書籍をレビューする企画、第三弾は薪ストーブライフ別冊の『薪ストーブ生活―THE WOODSTOVE ENTRY BOOK』を取り上げます。この本は2012年1月に発刊されたやや古い本になります。
テーマの中心は『これから薪ストーブ生活を始めようとしている方はもちろん、自己流でここまできてしまっている方が納得する本』ということで、改めて読み返してみました。第一弾で紹介した『薪ストーブデビュー ―はじめましょう、暖かい火のある生活』のずっと前に発刊されているので、どれだけ違うのかご紹介します。
それでは薪ストーブ〜
- 薪ストーブ生活―THE WOODSTOVE ENTRY BOOK
- 全体像
- ・薪ストーブ導入例
- ・薪ストーブ導入するための知識
- ・薪ストーブのカタログ
- ・薪について
- ・着火の方法
- ・薪ストーブ料理について
- ・薪ストーブショップ紹介
- ・その他
- 〆
薪ストーブ生活―THE WOODSTOVE ENTRY BOOK
登録情報
大型本: 160ページ
出版社: 沐日社 (2012/01)
薪ストーブ入門者のための間違いのないエントリーブックが待たれていますが、未だにそれは実現していません。初めに誤った情報で学んでしまうと、当然ですがそれが正しいものと勘違いしてしまいます。特に煙突のことや離隔距離、チェンソーを扱う薪づくりの場面では、一つ間違うと大きな事故につながってしまうため正しい知識が必要不可欠です。この『薪ストーブライフ別冊 薪ストーブ生活』は、長年実際に薪ストーブ生活をおくっている編集者によって研究・編集された入門書ですから、編集者自身が検証・経験した内容となっています。これから薪ストーブ生活を始めようとしている方はもちろん、自己流でここまできてしまっている方が読まれても納得のいく内容となっています。
1章 薪ストーブの基礎知識
2章 導入へのプランニング
3章 薪ストーブを焚いてみる
4章 薪ストーブクッキング
5章 薪という燃料
6章 薪ストーブのメンテナンス
薪ストーブ厳選カタログ
全国薪ストーブ リテーラーガイド永久保存版
薪ストーブ、データ&用語辞典薪ストーブ生活 THE_WOODSTOVE_ENTRY_BOOK | 薪ストーブライフ
全体像
雑誌薪ストーブライフを発刊する沐日社の薪ストーブの入門書ムックになります。長年、薪ストーブライフという雑誌を発刊している膨大な情報をまとめています。
ほぼフルカラーで、巻末にあるショップ紹介と薪ストーブ辞典のみモノクロ印刷となっています。
全体的には発刊間もない『薪ストーブデビュー 』と変わりません。カタログや薪ストーブショップなどの情報は古めなので注意が必要です。また、薪割りに関する器具や機械についても、書いている点が他の本との違いです。
注目すべき点は、6章 薪ストーブのメンテナンスの特集です。他の本と比べるとメンテナンスに注目しており、初心者より薪ストーブを導入後の方が是非読むべき章となっています。後で詳しく!
・薪ストーブ導入例
ユーザーの導入した例や写真などはありませんでした。0ページ。
・薪ストーブ導入するための知識
巻頭から薪ストーブの基礎知識が書かれており、薪が燃焼する仕組みから家の中での薪ストーブが暖めるメカニズムまでじっくりと書かれています。
さらに薪ストーブの仕組みや各部位の名称、タイプ別のメリット。デメリットまで書かれており、導入を考えている方には必見のページが続きます。
特に他の本と比べて煙突について詳しく書かれており、アメリカのNFPA(米国防火協会)の規定まで見ることができます。20ページ。
NFPA(米国防火協会)とは
国NFPAは、1896年に設立された世界的な非営利団体で、火災、電気および関連する危険や死傷、財産および経済的損失を排除することに専念してている団体です。
日本では薪ストーブの煙突自体の規定がないので、多くの薪ストーブショップはこの団体が規定する煙突の長さや材質に基いて設定していることが多いです。
ご自身で煙突を施工される方もいるようですが、この団体が規定する煙突を設置しないと、火災になる可能性が高いと言えるでしょう。
基本的には自分で煙突を取り付けることは、かなり危険だといえますね。
煙突についてのNFPA規定については、薪ストーブのカタログの巻末や、煙突のページに書かれています。
・薪ストーブのカタログ
11メーカー、62機種が紹介されています。薪ストーブの代表的なメーカーのカタログとなっており、メーカーごとの特徴が記載れているのでとても面白いと思います。
・薪について
詳しく薪について書かれており、写真付きでわかりやすいです。薪についての基礎知識から入手手段、斧やチェンソー、、薪割り機の知識や商品紹介、薪割りの方法、斧の持ち方から節のある薪割りの紹介、代表的な斧やチェンソーの紹介、薪棚の種類などかなり情報量が多いと感じました。かなりページを割いて書かれているので必読ページ。35ページ。
薪割り機についても手動から電動、エンジン式までざっと紹介されている点が他の本との違いです。カタログにもなっているので、一度は読んでみたいページになります。
私は電動薪割り機を使っています 、記事を書き直しました。
薪棚については、いろいろな薪棚について紹介されており、自分の庭や敷地に合わせた薪棚作りの参考になります。また、薪割りの方法についても、きちんと写真付きで説明されておりので、独学でやってきた人には是非読んでおくべき内容ですね。
我が家の薪棚の作り方記録はこちら
・着火の方法
初めて薪ストーブを焚く慣らし焚きから、初級〜中級〜上級など順序立てて薪の焚きかたを紹介しています。
具体的に上級編はクリーンバーン方式で理想に近い燃やし方や、煙は十分な酸素で燃焼し薪は密着させることで長持ちするなど、ヘビー薪ストーブユーザーが読んでも、そうなのか!と納得させることが書いています。
このあたりが、長年薪ストーブライフを発刊している情報量の強みでもあります。良い例でどれくらいが二次燃焼可能温度なのか、その場合どのタイミングで薪を導入するとよいのかを詳しく書いています。この場合、いかにして煙を減らし、燃焼させるかのポイントも記載されていました。12ページ。
薪ストーブの煙について考える
私も煙について考えた記事がこちらにあります
ここで気になるのが薪は密着させることで長持ちするというところです。もちろん薪を密着させると薪は長持ちしますが、この場合は熾火があることや、薪ストーブが十分な熱をもっていることが前提でしょう。
単に薪を密着させるだけでは、ストーブ内の空気の流れが悪くなるので焚き付け直後に密着させると不完全燃焼を引き起こします。
過去記事でも書いていますが、十分な熾火がある状態で密着させないと煙が大発生してしまうかもしれませんね。
・薪ストーブ料理について
薪ストーブクッキングについては、簡単な薪ストーブ料理の種類や薪の使い方、道具などが紹介されています。レシピは3品目が1ページ毎に大きな写真と工程があるのでわかりやすいです。
さらっとレシピや薪ストーブ料理について書かれています。基本的なピザやシチューなどが紹介されていました。7ページ。
・薪ストーブショップ紹介
各地の薪ストーブショップを紹介されています。58ショップ
・その他
他の本になりこの本の見どころは、11ページも薪ストーブのメンテンスについて書かれています。煙突掃除の紹介やガスケット交換、本体の分解と清掃の紹介などが書かれており、初心者向けというよりはベテラン向けという点でしょうね。
本体の分解はバーモントキャスティングスのアンコールと、ヨツールのF400(旧モデル)が紹介されています。本体掃除はなかなか自分で行うのはハードルが高そうですが、2機種の詳細な写真と分解手続きが工程があるのがとてもいいですね。
さらに薪を販売している森林組合や薪販売店などの情報(一覧表)、薪ストーブ用語辞典もあるので、しっかりとした知識を得るためにも一冊は持っておきたい本と言えるでしょう。
本体の分解と清掃について
大ベテランの『薪ストーブは燃えているか』のブロガーさんは、分解した手続きなどが書かれています。
アンコールのバックパネルをはずす - 薪ストーブは燃えているか
私は本体の掃除は薪ストーブショップに依頼して清掃してもらっています。薪ストーブユーザーでは本体を分解して清掃している方が多いです。
しかし、この工程や清掃は失敗は許されないので、ちょっとずつ教えてもらいながら自分でメンテナンスをしていこうと思っています。
なぜ、私がバーモントキャスティングスのアンコールを購入したかは、この機種ではネットや本に多くの情報があり、メンテナンスの情報が大量にあることがひとつの理由です。
現在はトップドアや簡単な煙突掃除程度ですが、いつかは本体を分解するまで上達したいと思っていますよ。
一番簡単なトップドアの清掃工程はこちら
〆
いかがでしたか?沐日社は薪ストーブライフという専門雑誌を作っているだけに、マニアックな情報も沢山有しています。
すでに発刊して5年以上も経過しており、情報も古くなっています。しかし、最新別冊の『薪ストーブデビュー 』も良い本と感じますが、バーモントキャスティングスのアンコールやヨツールのF400のユーザーにとっては、メンテナンスを考えるとこの本も持っておきたい本でしょう。